大阪屈指のビジネス街に建つ高層ビル、中之島フェスティバルタワー・ウエスト
このビルの中に、中之島香雪美術館があるのをご存知ですか?

市中の山居」をテーマにした中之島香雪美術館は、都会のオアシスのような存在です

今回は、そんな中之島香雪美術館の魅力を、美術館巡りが趣味のライター ‘亜梨沙 @alisa_0113_‘ がご紹介します。

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  • 中之島香雪美術館とは


    中之島香雪美術館は、2018年3月21日に、中之島フェスティバルタワー・ウエスト4階にオープンしました。

    こちらの美術館は、朝日新聞社の創業者である村山龍平が収集した日本と東アジアの古美術品を所蔵する、香雪美術館(神戸市)開館45周年を記念して作られたものです。

    木目の切子格子や温かみのある土壁で飾られたエントランス。入り口から、和へのこだわりが感じられますね

    特別展「交流の軌跡―初期洋風画から輸出漆器まで」


    2019年12月8日(日)まで、特別展「交流の軌跡―初期洋風画から輸出漆器まで」が開催されています。


    日本と西洋の交流によって生み出された初期洋風画から輸出漆器までが展示されており、近世の海外文化交流の軌跡を感じることが出来ます。

    第1章から第3章までの、見どころをご紹介♩

    第1章 西洋との出会い

    第1章は、西洋との出会いから生まれた、桃山時代から江戸時代初期の絵画が展示されています。


    重要文化財「レパント戦闘図・世界地図屏風(右隻)」(江戸時代初期、17世紀初期 香雪美術館)

    例えばこちらの絵、西洋の絵に見えますが、、、

    なんと、西洋絵画の技法を学んだ日本人が描いた初期洋風画なんです!!
    日本の伝統的な絵画表現である屏風に、西欧の主題を描く。まさに、日本と西欧の出会いの結晶ですね!!


    レパント戦闘図屏風の典拠が紹介されています。

    ※典拠:頼りにできる根拠。文献などにみえる、しっかりしたよりどころ。


    銅版画「ザマの戦い」(1602年、ローマ刊 香雪美術館)

    こちらが、レパント戦闘図屏風の典拠である、銅版画「ザマの戦い」です。

    共に展示されてあるので、見比べることが出来て良いですね!
    じっくりと、見入っちゃいます。

    他にも、海外で制作された屏風絵(通称:ビオンボ)なども、見ることが出来ます!
    ちなみに、日本の屏風は、南蛮貿易を通じて海外に渡ったそうですよ♡

    第2章 江戸時代の洋風画と舶載蘭書

    第2章は、洋風画家・司馬江漢など、江戸時代に活躍した画家たちの洋風画を紹介しています。


    司馬江漢筆、奥田尚斎織付「駿州薩陀山富士遠望図」(享和3年、1803年 村山コレクション)

    薩陀峠(清水市興津)から富士を遠望した、駿河湾越しの富士が描かれています。
    遠近表現や青い空の表現などに、洋画の要素が入っていて、独特な魅力がありますね。


    なんと、初の一般公開となる、司馬江漢の作品も展示されています!!


    司馬江漢筆、貫名海屋賛「異国風物図押絵貼屏風(右隻)」(文化9年、1812年か 個人蔵) 【前期展示】


    司馬江漢筆、貫名海屋賛「異国風物図押絵貼屏風(左隻)」(文化9年、1812年か 個人蔵) 【後期展示】

    こちらがその中の1作品。
    江漢が、京都で過ごした晩年に描いた蘭書情報満載の新出屏風です。

    屏風に6点の絵が並んでいますが、どういう意図でこの絵たちをチョイスしたのか気になります、、
    引きこまれる絵でした♡

    他にも、江漢の初公開作品2点

    銃を持つ人物」(天明1781-89頃 個人蔵)
    方三寸画帖貼交(ほうさんすんがじょうはりまぜ)屛風」(天明1781-89頃 個人蔵)

    を含めた豪華な作品が、沢山展示されていましたよ!

    第3章 輸出漆器の世界

    西洋製銅版画を典拠とする図を蒔絵や螺鈿で表した、「プラーク」や「プラケット」と呼ばれる輸出漆器が紹介されています。
    南蛮貿易で輸出されるようになった漆器が、注文主(オランダ人)の趣味によって形や装飾を変えていく中で、このような漆器が生まれたそうです。


    「長崎風物図螺鈿箱」(江戸~明治時代、19世紀 長崎歴史文化博物館)

    西洋人が日本で撮影した写真を元に作ったもので、螺鈿細工で長崎の風景が再現されています。
    相撲、三味線を持つ人、出島風景などがとても細かく描かれていて、本当に美しいです!
    非常に繊細な作りなので、完成させるのにどれほど時間が掛かったんだろうと、気になってしまう程、、


    パネルにしっかり説明が書いてあるのも嬉しいですね♩


    「ドッガーバンク海戦図蒔絵プラーク 4」(江戸時代、18世紀末期 長崎歴史文化博物館)

    こちらは、英蘭の戦闘を描いた蒔絵プラークのシリーズです。


    エンヘル・ホーヘルヘイデン画、ロッベルト・マイス彫版「ドッガーバンク海戦図 危難に陥るオランダ艦バタフィール号」(1785年、ミッデルブルフ刊 長崎歴史文化博物館)

    原図となった銅版画も一緒に展示されているので、見比べることが出来ます!
    再現度の高さに驚かされます。

    デジタルアーカイブ

    デジタルアーカイブで、中之島香雪美術館の所蔵品を、解説付きでじっくり見ることが出来ます。勉強になりますね!

    過去に開催された特別展の作品などもアーカイブされていますよ♪

    常設 村山龍平記念室


    中之島香雪美術館の常設展示である村山龍平記念室は、朝日新聞社の創業者である村山龍平(1850~1933年)の生涯を紹介しています。

    村山龍平と朝日新聞社の足跡


    大きな年表や映像で、朝日新聞社と村山龍平の足跡を辿ります。


    改めて、村山龍平の偉大さを実感出来ます

    旧村山家住宅

    神戸・御影に構えられた旧村山家住宅の90分の1のジオラマや、邸宅の全容を紹介する映像もあります。
    豪華なお家ですねぇ。

    美術雑誌『國華』


    明治22年(1889年)に岡倉天心らが創刊した「國華」は、現在も刊行している、世界最古の美術雑誌です。

    村山龍平が全面的に経営支援をしていた雑誌であった為、愛着もひとしお。
    彼の収集した美術品も、同誌上で度々紹介されていたそうです。

    実際の「國華」を読むことが出来ます。
    是非、読んでみて下さい!

    旧村山家住宅 洋館 居間の再現


    旧村山家住宅洋館の、2階居間部分が再現してあります。
    家具がオシャレです。

    中之島玄庵


    中之島玄庵は、重要文化財・旧村山家住宅に建つ茶室「玄庵」を原寸大で再現した、茶室展示室です。


    土壁や藁ぶき屋根などの材料も、本物と同じなんだとか!!
    茶室だけでなく、茶庭である「露地」も正確に再現されてあるので、とても趣きがあります。
    照明等の演出によって、昼や夜、さらには神戸御影の四季によって変化する茶室の姿も見ることが出来ますよ。

    中之島玄庵のみ写真撮影okなので、貴重な茶室を是非、写真に収めて下さいね!

    ミュージアムショップ


    ミュージアムショップでは、特別展に関連したグッズや、香雪美術館オリジナルグッズが購入出来ます。

    スライドショーには JavaScript が必要です。

    ファイルや付箋など、可愛くて使いやすそうなグッズがいっぱい♡
    お土産にもオススメです。


    「レパント戦闘図・世界地図屏風」をモチーフにしたグッズも!


    ポストカードも、なかなか個性的で可愛いですね!

    入場料金・割引情報


    中之島香雪美術館 特別展「交流の軌跡―初期洋風画から輸出漆器まで」の入場料金です。

    ※展覧会ごとに入場料金が異なります!!

    大人:1000円(団体800円)
    高校生・大学生:600円(団体400円)
    小学生・中学生:300円(団体150円)
    小学生未満:無料
    ※20名より団体料金

    入場料割引情報
    【本人と同伴一名】朝日友の会:200円引き、障がい者手帳:半額
    【本人のみ】藪内燕庵維持会:200円引き、フェスティバルホール・クラブ:200円引き

    詳しくは、中之島香雪美術館HPをご覧下さい。

    コインロッカー


    美術館入ってすぐのところに、コインロッカーがあります。
    コイン返却式(1回100円)なので、気軽に預けることが出来ますよ♪

    中之島香雪美術館 アクセス


    中之島香雪美術館は、中之島フェスティバルタワー・ウエストの4階にあります!

    ※フェスティバルタワー・ウエストは、京阪中之島線「渡辺橋」駅下車12番出口直結、地下鉄四つ橋線「肥後橋」駅4番出口直結です。

    ビルに入ってすぐ、長いエスカレーターで3階まで上がります。


    さらにエスカレーターで4階へ。


    到着です!
    広いロビーは、格調高い空間で穏やかな気持ちになれますよ。

    次回開催 企画展「上方界隈、絵師済々 Ⅰ」


    引用:http://www.kosetsu-museum.or.jp/nakanoshima/

    企画展「上方界隈、絵師済々 Ⅰ」では、円山・四条派※1を中心に、上方画壇※2の展開に注目した作品が展示されます。

    2019年12月17日(火)〜2020年3月15日(日)まで開催。

    前期(2019年12月17日-2020年2月2日)は、円山派だけでなく、他流派も含め京都で活躍した絵師たちを紹介し、
    後期(2020年2月4日-3月15日)は、京都からの影響をうけつつ、独自に花開いた大坂画壇の動向を、四条派に焦点を当ててたどります。

    ※1 円山派:円山応挙によって始められた写実的な絵画の流派。18世紀の中頃に、京都の新興町人層の現実的な感性を基盤に、写実性と伝統的な装飾性を融和させた新しい様式
        四条派:円山派の流れをくむ、円山応挙の門下の呉春が開いた一派。円山派の平明で写実的な作風に、俳諧的な洒脱みを加えた新様式
    ※2 画壇:画家たちの社会

    まとめ


    中之島香雪美術館は、都会の喧騒を忘れられる、優雅で落ち着いた美術館でした。

    雑多な毎日に疲れたら、ふらっと立ち寄って、静かに美術品と向き合う。
    素晴らしい美術品を眺めに、是非、立ち寄ってみて下さいね。

    中之島香雪美術館 施設詳細
    開館時間 :10:00~17:00 (ご入館は午後4時30分まで)
    入館料  :展覧会ごとに異なる
    休館日  :月曜日(月曜日が祝日の場合は翌火曜日が休館)、展示替え期間、年末年始
    電話   :06-6210-3766
    アクセス :京阪中之島線「渡辺橋」駅下車12番出口直結、地下鉄四つ橋線「肥後橋」駅4番出口直結、地下鉄御堂筋線・京阪本線「淀屋橋」駅下車7番出口より徒歩5分、JR「大阪」駅桜橋口より徒歩11分
    住所   :大阪府大阪市北区中之島3-2-4 中之島フェスティバルタワー・ウエスト 4階
    地図   :Googleマップ
    公式サイト:中之島香雪美術館

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