映画「国宝」はご覧になりましたか?

踊りの稽古をした橋、墓参りの寺、喜久雄の立つ奈落──実は、あの美しいシーンの数々が、大阪の意外すぎる場所で撮影されていたんです。中には普段何気なく通り過ぎている、あの橋や学校も……。

今回は、映画の世界観にどっぷり浸れる「大阪の聖地」を、ライターの”おかん”が徹底調査!実際に現地を歩いてわかった、効率よく回れるおすすめ巡礼ルートをご紹介します。再現写真や立ち寄りグルメ情報も必見ですよ!

ナビゲーターは元旅行雑誌ライターで、国宝ファンの”おかん”(左)です。”ちっちママ”(右)が一緒に回ってくれました。

※本記事の情報は2026年2月27日現在のものです。内容に誤りがありましたら「記事修正報告フォーム」よりご連絡ください。

はじめに|映画「国宝」大阪ロケ地は意外と遠い?現実的な行き方は?

映画「国宝」の大阪のロケ地は主に5ヶ所。大阪市内は1ヶ所で、ほとんどが郊外です。実際に移動してみましたが、さすがに1日で回りきることはできませんでした。

そこで今回、各スポットの距離感や満足度を軸に、現実的なルートを考案。「近鉄で行く王道ロケ地」「車でめぐる3つの聖地」「気軽に寄れる街中ロケ地」の3タイプに整理しました。

本記事では、3つのおすすめルートを紹介。見どころや楽しみ方に加え、寄り道グルメやトリビアなどプラスαの情報もお届けします。

地図で確認|映画「国宝」大阪ロケ地はこの3ルート

このマップでは、映画「国宝」の大阪ロケ地と、あわせて立ち寄りたい周辺スポットを3つのルートにまとめています。

映画「国宝」大阪ロケ地3ルート

・近鉄で行く玉手橋+道明寺ルート(半日〜1日/撮影向き)

・車で行く東大阪ルート(半日/マニア向き)

・メトロで行く文楽劇場+高津宮ルート(2〜3時間/芸術系向き)

ピンの位置関係を見ると、各ロケ地の距離感や電車・車それぞれの回りやすさがひと目で分かるはず。

気になるスポットをタップしながら、行く順番をイメージしてみてくださいね。

近鉄で行く王道ロケ地|道明寺の吊り橋でなりきり撮影

失意の俊介が喜久雄に怒りをぶつけた橋「玉手橋」

藤井寺市道明寺と柏原市石川町をつなぐ、全長151mの玉手橋。2001年に吊り橋として全国初の登録有形文化財に指定された、貴重な建造物です。昭和初期らしい重厚感がとても素敵でした!

映画では、この橋の上で、俊介が喜久雄の胸ぐらをつかみます。(写真は胸ぐらをつかむイメージを影で再現したものです。)

怒りを収めた俊介が、喜久雄の乱れた胸元を整えながら言う、あのセリフがいいんですよね!原作の小説にもある名ゼリフです!

玉手橋は、車やバイクの通行がありません。人や自転車の行き来も比較的少ないので、写り込みをあまり気にすることなく、シーン再現性の高い撮影ができますよ。

少年時代の喜久雄と俊介が、橋の上で踊りの稽古をするシーンがありますが、そちらに登場するのもこの吊り橋です!

玉手橋
所在地 柏原市石川町8番(※左岸は藤井寺市道明寺)
地図 Googleマップ
アクセス 近鉄南大阪線道明寺駅より徒歩約1分
公式サイト 柏原市

玉手橋からの寄り道グルメ|道明寺天神通り商店街

名シーンに浸った後は、昭和の雰囲気が残る商店街で、映画の余韻を楽しみましょう。近鉄道明寺駅前と道明寺天満宮の間に位置するこの商店街は、300mほどの小ぢんまりとしたサイズ感。軽く食べ歩くのにぴったりですよ。

ドラマ「孤独のグルメ」に登場した串かつ屋さんの系列店、SAランクの上質なすり身を使った練りもの屋さん、関西万博にキッチンカーを出店したタコ焼き屋さんなど、隠れた名店に出会えますよ。

道明寺は、道明寺粉の発祥の地です。古雅な敷石小道のある明治8年創業の料亭が、道明寺粉を使ったフロランタンを1個から販売していて、地元愛を感じました。(甘さ控えめ、ナッツ多めで美味しかったです!)

道明寺天神通り商店街
住所 藤井寺市道明寺
地図 Googleマップ
アクセス 近鉄南大阪線道明寺駅すぐ
備考 営業時間・定休日は店舗により異なる
公式サイト 道明寺天神通り商店街

玉手橋からの立ち寄り参拝|道明寺天満宮

商店街でいい感じにお腹がふくれたら、約1400年の歴史を誇る古社へ。もとは古代豪族・土師氏(はじし)の氏神を祀り、のちに学問の神様・菅原道真公とつながることから天満宮となったそうですよ。

トリビア①:ご贔屓筋(ひいきすじ)の由来

中国の伝説上の生きもの「贔屓(ひいき)」は、重いものを背負って支えることを好むそうです。歌舞伎の世界では、支援者を「ご贔屓筋」と呼びますが、この霊獣が由来だとか。贔屓は、境内の「八島君之廟窟碑(やしまきみのびょうくつひ)」の足元にいるので、ぜひ探してみてください。

道明寺天満宮
住所 藤井寺市道明寺1-16-40
地図 Googleマップ
アクセス 近鉄南大阪線道明寺駅より徒歩約3分
料金 境内無料、梅まつり300円、宝物館500円
公式サイト 道明寺天満宮

車でめぐる3つの聖地|東大阪で名場面の面影をたどる

喜久雄と半次郎と幸子が墓参りをした場所「往生院六萬寺」

往生院六萬寺は、平安時代後期に開かれた、極楽往生を願う信仰の寺です。南北朝時代には楠木正行の本陣となった歴史もあります。とにかく眺望が素晴らしく、あべのハルカスも淡路島も見えました。

墓参りのシーンでは、命の継承とも言える襲名ついて、半次郎がある決断を下します!たいへん重要なシーンです!

今回の国宝大阪ロケ地の中で一番「ロケ地に来た!」と実感できる場所でした。社務所の方がお手すきのタイミングなら、ロケ当日の様子を聞けることもありますよ。

トリビア②:往生院六萬寺と歌舞伎の縁

映画「国宝」には、四代目・中村鴈治郎さんが出演・歌舞伎指導をされています。その曾祖父にあたる初代・中村鴈治郎は、大正期に楠木正行を演じた縁で、往生院六萬寺に石段や石碑を寄進しています。約110年の時を経て、再び縁がつながったことになりますね。

往生院六萬寺
住所 東大阪市六万寺町1-22-36
地図 Googleマップ
アクセス 近鉄奈良線瓢箪山駅より徒歩約30分
駐車場 あり(無料・50台)
開門時間 6:00~16:30(※入山は16:00まで)
公式サイト 往生院六萬寺

喜久雄と俊介が通った“天馬高校”「東大阪市立日新高等学校」

大阪府内に3校しかない市立高校のひとつ。映画では、喜久雄と俊介が通う天馬高校として登場しました。満開の桜並木が、自転車での下校のシーンに華を添えています。

校内への立ち入りはできません。見学の際は近隣の駐車場を利用し、敷地の外から静かに外観を眺める形で楽しみましょう。(授業や部活動の妨げにならないよう、配慮を忘れずに!)

東大阪市立日新高等学校
住所 東大阪市日下町7-9-11
地図 Googleマップ
アクセス 近鉄奈良線石切駅より徒歩約15分
駐車場 なし(近隣の有料駐車場を利用)
公式サイト 東大阪市立日新高等学校

喜久雄も俊介も訪れた、春江が暮らすアパート「安戸文化住宅」

外階段を備えた、昔ながらの集合住宅。春江の住まいとして撮影され、喜久雄の時の流れを感じさせる舞台になっています。俊介が廊下に佇む、雨のシーンも印象的です。

敷地内への立ち入りはできません。建物の向かいにコインパーキングがあるので、見学の際はそちらを利用するのがおすすめ。(住民の方の迷惑にならないよう、静かな見学を!)

安戸文化住宅
住所 東大阪市御厨東2-3-8
地図 Googleマップ
アクセス 近鉄奈良線八戸ノ里駅より徒歩約10分
駐車場 なし(近隣の有料駐車場を利用)
関連リンク 東大阪公式観光情報サイト

気軽に寄れる街中ロケ地|日本橋で出会う舞台の裏側

喜久雄が奈落から上がる演出を支えた「国立文楽劇場」

大阪発祥の伝統芸能・文楽の本拠地です。歌舞伎ファンにとっては、源流を体感できる場所です。

トリビア③:曽根崎心中は文楽が発祥

死ぬる覚悟が聞きたい。──文楽「曽根崎心中」の名場面・縁の下の段で、お初が徳兵衛に投げかける一言です。映画に登場する演目のひとつ「曽根崎心中」は、もともと大阪で生まれた文楽の作品で、のちに歌舞伎へと受け継がれました。

ロケでは舞台上のカットなども撮影されたそうですが、実際に映画で使われたのは、奈落から舞台に上がるシーンのみ。取捨選択の徹底に、監督の強いこだわりが感じられます。

正面入口を入って左手奥にある1階の資料展示室は、公演チケットがなくても無料で見学できます。

資料展示室は、企画展示や映像視聴があり、一部は撮影も可能。気軽に立ち寄れるのに、見応えのあるスポットですよ!

国立文楽劇場
住所 大阪市中央区日本橋1-12-10
地図 Googleマップ
アクセス 大阪メトロ・近鉄各線日本橋駅7番出口より徒歩約1分
料金 公演により異なる(※資料展示室は無料)
営業時間 公演により異なる(※資料展示室は10:00〜18:00)
定休日 年末年始、7月1日
公式サイト 国立文楽劇場

特別企画で見た舞台裏|文楽劇場バックステージ

2026年2月に参加したバックステージツアーで、普段は立ち入れない舞台の真ん中に立たせてもらいました。背後の白い柳は「鷺娘」の舞台セットです。

映画で印象的だった、鷺娘に扮する喜久雄が舞台下からせり上がる登場シーン。まさにその仕掛けが、この国立文楽劇場に5種9台ある迫り(せり)の1つ「小迫り(こせり)」です。

国立文楽劇場の迫りは、この舞台から約9m下に位置する地下空間・奈落とセットで使われます。映画では、喜久雄が約3.6m下の中乗り場から小迫りに乗って登場するシーンが描かれています。

劇場内部や舞台の写真は、特別開催のバックステージツアー参加時に撮影したもので、通常は立ち入れない場所です。ロケ地めぐりの際は、外観や一般公開エリアでお楽しみください。(※過去に友の会企画として実施された例もありますが、今後の予定は未定です。)

国立文楽劇場からの立ち寄り参拝|高津宮

大阪・高津の高台に鎮座する高津宮(こうづぐう)は、仁徳天皇を主神と仰ぐ神社です。本殿右手の境内社・高倉稲荷神社は芸能の神様としても知られ、国立文楽劇場の楽屋入り口には分霊を祀る神棚があります。

トリビア④:歌舞伎界の人間国宝と高津宮

絵馬殿には、2020年に亡くなった四代目・坂田藤十郎さんが奉納した絵馬が飾られています。藤十郎さんは上方歌舞伎の立役者として活躍し、江戸時代に途絶えた上方歌舞伎の大名跡を2005年に復活させ、重要無形文化財保持者(人間国宝)にも認定された人物です。虚構と現実は違えど、芸に人生を捧げた姿は映画の喜久雄と静かに重なります。

高津宮
住所 大阪市中央区高津1-1-29
地図 Googleマップ
アクセス 大阪メトロ各線谷町九丁目駅より徒歩約5分
開門時間 6:00~18:00
公式サイト 高津宮

まとめ|大阪の聖地巡礼で映画「国宝」の感動がよみがえる

名シーンが生まれた場所を実際に歩いてみると、スクリーンの中では気づかなかった空気感が、じんわりと伝わってきます。あなたの旅のスタイルに合ったルートで、映画「国宝」の世界を追体験してみてください。