「ソーリャ!!」というかけ声をご存じですか?
大阪府岸和田市で毎年9月に行われるだんじり祭のかけ声です!
全国的にも有名なだんじり祭は、大阪のみならず全国から観客が押し寄せます。
2011年放送のNHK朝の連続テレビ小説『カーネーション』でさらに広まりました。
しかし、
「だんじりって聞いたことはあるけど、どういう祭?」
「どこの場所が一番見やすいの?」
なんて疑問を聞くこともしばしば…。
そこで今回は、泉州地域で生まれ育ったライター・三井 玲衣が、だんじりのみどころをたっぷりご紹介!
これであなたもだんじり通です!!
岸和田だんじり祭とは?
だんじり祭の起源
『だんじり』とは、太鼓や鉦(かね)を鳴らしながら引く屋台のことで、主に関西地方で使われる言葉です。
だんじり祭は元禄16年(1703年)に、岸和田藩主・岡部長泰(おかべながやす)が五穀豊穣を願った稲荷祭がはじまりといわれています。
300年以上もの間、市民たちの手によって受け継がれている伝統的なお祭なんです。
だんじりは岸和田市のみならず、周辺の大阪府堺市から田尻町までの泉州地域、吹田市などの北大阪、東大阪市などの河内地方など大阪ではほとんどの市や町が所持し、お祭が行われます。
また、兵庫県や奈良県の一部でも開催されていて、関西ではなじみのあるお祭なんですよ。
だんじり祭の基本情報!
だんじり祭は市内をいくつかの地区に分けて行います。
各地区では町会ごとに分かれて役割分担がされています。
町会長(総括責任者)を筆頭に曳行責任者・世話人(46歳から)、若頭(36歳から)、若中(26歳から)、青年団(15歳から)、少年団・子供会(中学生以下)が携わり、大人から子どもまでガッツリと関わるお祭はめずらしいんです。
だんじりは総ケヤキ造りで、なんと重さは約4トン!
高さ3.8メートル、長さ4メートル、幅は2.5メートルもあるんです。
各地区の町ごとに彫り物が違っているので、それをながめるのもだんじり祭の楽しみですよ。
岸和田だんじり祭の日程
岸和田だんじり祭は、2018年は9/15、16の二日間に分けて行われました。
岸和田市は9月に行われる地区と、10月に行われる地区に分けられます。
今回ご紹介する岸和田だんじり祭は『岸和田地区』で、9月の敬老の日の前々日(宵宮)と前日(本宮)に行われます。
この時期はにわか雨が多く、だんじり祭に下駄を履いて参加した人も多かったため『下駄祭』ともいうんだとか。
試験曳きの日程
また、『試験曳き』とよばれるテスト曳行(えいこう)もあります。
2018年は9/2(日)と9/14(金)に行われました。
時間は14:00~16:00です。
毎年、9月はじめの日曜日(ただし9月1日が日曜日の場合は次週)とお祭本番の前日の2回行われますので、こちらもぜひチェックしてみてくださいね!
岸和田だんじり祭のスケジュール
9/15(宵宮)は午前6:00から地区内の各町がだんじりを出して曳きはじめます。これを『曳き出し』といいます。
その後、9:30~11:30まで『午前曳行』が行われます。
13:00~17:00まで『パレード』と『午後曳行』が行われます。
さらに19:00~22:00まで『灯入れ曳行』とよばれる曳行があります。
9/16(本宮)は9:00~12:30まで『宮入り』が行われます。
そして、宵宮と同じく13:00~17:00まで午後曳行、19:00~22:00まで灯入れ曳行が行われます。
岸和田だんじり祭の開催場所
岸和田のだんじり祭はおもに南海電鉄『岸和田駅』周辺で行われます。
また、駅下がりにある岸和田カンカンベイサイドモール前の『カンカン場』周辺でもたくさんのだんじりが通過します。
出典:https://www.city.kishiwada.osaka.jp/site/danjiri/
こちらはだんじり祭りマップです。岸和田だんじり祭の公式サイトからダウンロードできますが、岸和田駅でも配布していますので、かならずゲットしておきましょう!
このマップを見てみると、曳行コースが細かく書いてあるのでとっても便利です!
しかもトイレの場所まで書いてあります!もうトイレで困ることはありません。
こんなふうにトイレもすぐに見つけることができました。
岸和田だんじり祭の最寄り駅は?
だんじり祭のアクセスは南海本線『岸和田駅』がメインですが、大変混雑します…。
ですから、岸和田駅の大阪寄りの『和泉大宮駅』か和歌山寄りの『蛸地蔵駅』から歩くのがオススメ!
ただし、どちらの駅も普通電車しか停車しないので、時刻表をチェックしてくださいね。
岸和田だんじり祭の見どころを一挙ご紹介!
9/15:パレードは宵宮(1日目)に
(写真提供:岸和田市より)
宵宮の13:00から岸和田駅前で『パレード』が行われます。
パレードとは、事前にくじを引いた順番にだんじりが『岸和田駅前通商店街』を駅に向かって進み、駅前でセレモニーを行うことです。
各町が仮装したり余興をしたりして、観客を楽しませてくれます。
パレードは宵宮のメインイベント!!
私は取材のため、午後0時に駅に到着しましたが、すでにたくさんの観客が!
胴上げやクラッカーが鳴りひびき、たいへんな盛り上がりです!
その後、勢いよく曲がる『やりまわし』をして、左右に分かれて曳行していきます。
9/16:宮入りは本宮(2日目)に
(写真提供:岸和田市より)
宮入りとは、それぞれのだんじりが町を守る神様へお参りすることです。
岸和田地区には22町のだんじりがあり、宮本町・上町・五軒屋町・中之濱町、大工町、大北町、南町、大手町、堺町、中町、本町、紙屋町、南上町、北町、中北町の15町が『岸城神社』に宮入りします。
さらに沼町、筋海町、下野町、並松町、藤井町、別所町の6町が『岸和田店神宮』に宮入りします。
そして、春木南町は春木地区の『弥栄神社』に宮入りします。
とくに有名なのが、『岸城神社』へ宮入りするとき、こなから坂を一気にかけあがるだんじりの姿がとても人気!
午前9時からはじまる宮入りに合わせ、2時間以上前から場所取りをする人々がたくさんいるんです。
みなさんもぜひ間近でご覧になってください!
夜の曳行もステキ!
(写真提供:岸和田市より)
だんじり祭は夜にも行われているのが特徴!
それぞれの町のちょうちんをつけ、町中を練り歩きます。
ちょうちんをつけただんじりは昼間の姿とはうって変わり、雅な雰囲気たっぷり。
昼間は危険を伴うこともあり、小さな子どもは曳くことはできませんが、夜は昼間のように走ることはないのでたくさんの子どもたちが参加しています!
たくさんの屋台も出店されているので、食べながら眺めてみるのはいかがでしょうか。
圧巻!やりまわしは絶対見るべき!!
やりまわしって?
先述した『やりまわし』とは、曲がり角で曲がるときに走りながら勢いよく曲がることをいいます。
そのスピードと勢いは見る者を圧倒させます!
やりまわしは綱を曳く青年団や旋回させる前梃子、舵取りを担う後梃子、そして合図を送る大工方の連携が不可欠。
タイミングがひとつでも間違うと、だんじりが横転し、乗っている人たちも転落してしまうため、大事故になるのです。
ですから、曲がる瞬間は緊張感が漂います…。
成功すると、見物客や自町の人々から大きな歓声があります!
ただ、やりまわしのメインスポットはカンカン場ですが、大変混雑しています…。
カンカン場には有料の観覧席が設けられているので、事前にチケットを購入し観覧するのをオススメします!
「いろんな場所で、なおかつ混雑しない場所で観たい…」という人のために穴場スポットをご紹介します!
穴場スポット①菊右衛門橋
菊右衛門橋は元々、菊右衛門川にかかる橋の名前で、現在は暗渠(地下に設けた水路)になっているので橋自体はありませんが、交差点の通称になっています。
交差点へは紀州街道中にある祭礼年番本部前から大阪方面へ行くと、『武部佛だん店』があるので分かりやすいと思います!
ここではこんな間近で見ることができました!
狭い道からのやりまわしはかなり難しそう…。
でも見事にやりまわしを決め、どの町もかっこよかったです!!
穴場スポット②らんかん橋
らんかん橋は元々、旧古城川に架かる橋の跡です。
菊右衛門橋とは反対に、紀州街道を和歌山方面へ行くとらんかん橋のある交差点があります。
橋の向かい側には『成協信用組合岸和田支店』と『池宮時計店』があり、どちらかで見るのがオススメ!
紀州街道からやりまわしをするだんじりや、市立公民館から直進するだんじり、さらに『きしわだ自然資料館』の手前にあるS字カーブへ向かうだんじりを見ることができます。
だんじりの進路により見物の規制も変わる場所なので、警官や祭礼関係者の指示に従いましょう!
穴場スポット③船津橋
船津橋もらんかん橋同様、旧古城川に架かる橋のことで現在は撤去されています。
ですから、写真にある『大北町』の交差点を目指しましょう。
ここではカンカン場へ向かうためにやりまわしをしたり、反対側の疎開道へやりまわしをします。
さらには浪切ホールへ直進したり、疎開道からカンカン場へ直進したりして、いろんな曳行コースをとるのが特徴。
間近でやりまわしや走るだんじりを見ることができます!
穴場スポット④北町交差点
北町交差点は大阪臨海線にある交差点で、カンカン場の信号を大阪方面へひとつ進むとあります。
ここは菊右衛門橋から直進してきただんじりがやりまわしする場所。
広い交差点でやりまわしのスピードは最高!
ですが、やりまわしは何が起こるかわかりませんので、安全な場所で見るようにしましょうね。
やりまわし観覧の注意点
だんじりは車と同じで、急に止まれません。
だんじりがやってくるときに前を横切ったり、後をついていくことは大変危険です!
脚立や踏み台に乗って見物することも禁止されています。
また、傘をさしての見物もほかの見物客の迷惑になりますから、雨天時はレインコートを持参しましょう!
警察はもちろん、祭礼関係者の指示に従いましょうね。
だんじり祭は10月にも開催される!
(写真提供:岸和田市より)
岸和田だんじり祭は10月にも行われます!
2018年は9月30日(日)13:00~17:00に試験曳き、
10月6日(土)は宵宮で、6:00~22:00に行われ、
10月7日(日)は本宮で、7:00~22:00に行われます。
10月に開催される地区は、体育の日の前日と前々日に行われます。
一部地域では10月の第三土曜日・日曜日や、10月ではない地区もあります。
それぞれパレードや宮入りがあったり、地区ならではの神事があったりして、岸和田地区とはまた違った雰囲気を楽しむことができます。
ほかの地域にもぜひ足を運んでみてください!
一年中だんじりが楽しめる 『岸和田だんじり会館』
9月に行われる岸和田だんじり祭ですが、なんと一年中楽しめる場所があるんです!
その名も『だんじり会館』!!
城を感じさせる佇まいです。さっそく中に入ってみました!
イベント広場で実物にふれよう!
2階の有料展示室に入ると、大きなだんじりがあります!
なんと天保12年(1842年)に製作されたもの。
見上げるほどの高さがあるだんじりを間近でみることができるんです。
さらに文化・文政年間に製作されたものや明治に製作されただんじりまで展示しています。
そして、大型マルチビジョンもあり、だんじりの映像をみることができます!
毎年11月の日曜日・祝日にはその年の祭のハイライトも上映され、熱気を感じることができるんです。
大工方(だいくがた)と鳴物(なりもの)を体験しよう!
そして、私は3階のミニだんじりギャラリーを見たあと、4階へ。
なんとここでは大工方と鳴物の体験ができるんです!
大工方とはだんじりの大屋根や小屋根に乗り、前が見えない後梃子の曳き手たちに進路を指示する役目の人たちです。
とくに大屋根に乗る大工方は、うちわを持って華麗に踊ります。まさにだんじりの花形。
そして、鳴物とは大太鼓、小太鼓、笛、鉦(かね)を用いてだんじり囃子を奏でる人たちのことです。
主に青年団から選出され、祭を盛り上げます。
大工方も鳴物も男性しかできませんが、このだんじり会館では女性も体験できるのが特徴!
だんじり会館のハッピも貸してくれますよ。
しかし、屋根の上で華麗に踊れる気がしない私…(苦笑)。同行した編集長のぐみさんが大屋根で踊ってくれました!
わー!めっちゃ楽しそうなぐみさん!!
でも大屋根を右から左へ、左から右へ行くのは結構難しそう…。
これを4mの高さのだんじりで、しかも走っている上で行う大工方さんってすごい!
この体験版の大屋根でもわりと高めなので、お子さまは注意が必要です!
そして、隣の鳴物の体験へ。
すごいー!!小さい頃から見てきた鳴物を触る日が来るなんて…。
いざ、演奏!
…が!だんじり囃子を聞いて育ったのに、結構難しい!!
すかさずスタッフの人が丁寧に教えてくださいました。
だんだんさまになってきて、めちゃくちゃ楽しかったです!
スタッフの人いわく、たくさんのだんじりを知らない人や外国人観光客も楽しそうに演奏しているそう。
3Dだんじりビジョンを体験!
大工方と鳴物を体験したあとは、3Dだんじりビジョンを楽しみましょう!
専用のメガネをかけて中へ。
ここではだんじり祭の迫力ある映像を楽しむことができます!
すぐそばでだんじりが走っているかのような臨場感にドキドキ。
スピードの速さに驚きっぱなしでした!
ぜひ、祭気分を味わってくださいね。
展示と資料にワクワク!
体験コーナーには岸和田市内各町のハッピや、灯入れ曳行で使われるちょうちんが並んでいます。
さらに体験コーナーを出ると、だんじりを彩る飾りの展示もあります。
また、祭の仕組みを分かりやすく伝えるコーナーもあります。
本番の何か月も前から、どのような人々がどう関わっていくのかを紐解いています。
これを読むと、祭に関わる人々の熱意が伝わってくるようでした。
さて、順路を進み、3階に戻ると、だんじりをつくる大工さんや彫物師さんたちの匠の技を紹介するコーナーがありました。
ここでは彫物を間近で見ることができ、その細やかな技に思わずため息がこぼれました。
さらに『今昔資料館』では岸和田市内各町の紹介やだんじりの歴史を知ることができます。
ハッピの移り変わりがひと目でわかり、歴史を堪能できました。
『映像ライブラリー』というタッチパネルでは、だんじりの歴史や変遷を見ることができ、クイズにも挑戦できます!
オリジナルのおみやげをGET!
展示物を見終わった私は1階のおみやげコーナーへ。
ここではだんじりグッズはもちろん、泉州名物の和菓子を購入することができます。
『だんぢり村雨(むらさめ)490円』。
村雨とは泉州地域の郷土菓子で、餡と米の粉を混ぜて蒸した和菓子のことです。
お土産にピッタリですよ!
ここでしか買えないグッズの数々に、来館していたお客さんも目がくぎ付けでした!
岸和田だんじり会館へのアクセス
最寄り駅は南海本線の『蛸地蔵駅』です。
岸和田駅からも歩いて行けますが、少し距離があります。
ぜひ、だんじり会館へ遊びにいってくださいね!!
名称 | 岸和田だんじり会館 |
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休館日 | 月曜日(祝祭日の場合は開館)、12月29日~1月3日 |
開館時間 | 午前10時~午後5時(入館は午後4時まで) |
入館料 | 大人600円 小人(小中学生)300円 団体(25名以上) 大人400円 小人200円 3館(だんじり会館・岸和田城天守閣・自然資料館)共通券 大人700円 ただし1階のコミュニティホールは無料。 |
電話 | 072-436-0914 |
アクセス | 南海本線『岸和田駅』から徒歩13分 南海本線『蛸地蔵駅』から徒歩7分 【車での来館】阪神高速湾岸線『岸和田南.I.C』より5分 |
住所 | 大阪府岸和田市本町11-23 Googleマップ |
まとめ
いかがでしたか?
今年の岸和田だんじり祭は終わりましたが、関係者は来年に向けてすでに話し合いがされています。
疾走するかっこよさの裏には、無事故で何事もなく楽しめるように一体となっているんですね。
365日だんじり祭。それほど岸和田に根付いている誇り高き祭なんです。
これからも情報を随時更新していくので、要チェックですよ!
さぁ、あなたも一緒に「ソーリャ!!!!」。