大阪万博の西ゲート側、フューチャーライフゾーンにある大規模パビリオン「未来の都市」は、その名の通り、未来を体験できるパビリオンです。博覧会協会と、12者の企業・団体が考える「幸せな都市」とは、一体どのようなものなのか。体験できる15のアトラクションも含めて、徹底解説します!
目次
「未来の都市」パビリオンってどんなところ?
「都市は、誰のために、何のためにあるのか」。
そんな問いかけからはじまる『未来の都市』パビリオンは、「誰ひとり取り残さず、一人ひとりが幸せを実感できる社会」をテーマに掲げています。
パビリオンの大きなテーマは「Society 5.0」。
これは、サイバーフィールド(仮想空間)とフィジカルフィールド(現実空間)をうまく組み合わせて、経済の発展と社会課題の解決、どちらもかなえることを目指した“人間中心の未来社会”のこと。
共同出展のパビリオン!
『フューチャーライフ万博・未来の都市』パビリオンは、博覧会協会と12の協賛団体が共同で出展している、パビリオンです。“イノベーション・コンプレックス”というコンセプトのもと、それぞれの協賛者が持つ知恵やアイデアを活かした体験プログラムが用意されていて、見て、触れて、未来の“幸せな都市のかたち”を楽しみながら感じることができます。
万博会場内でも最大級のスケール!
『未来の都市』パビリオンは、万博会場の中でも最大級のスケールを誇るパビリオン。
なんと、全長は約150m、展示面積はおよそ3,300㎡にもなるそうです。
外観のデザインには、パビリオンのテーマでもある「Society 5.0」の“サイバーフィールド”と“フィジカルフィールド”がイメージされていて、2重の被膜を使った白い建物が目を引きます。
壁面は、まるで折り紙のように折りたたまれた立体的なデザイン。そこに重ねられたのは「モアレ」と呼ばれる、不思議な模様。このモアレが、ここまで大きく建物に使われるのは世界初なのだとか。
さらに、外側の膜には車の排出ガスを分解して空気をきれいにする「光触媒メッシュ膜」という環境素材が使われていて、見た目のインパクトだけでなく、機能面でも未来的。
ミストが吹き出したり、夜にはライトアップされたりと、時間帯によって違った表情を楽しめるのも魅力のひとつです。
万博内のどこにある?
「西ゲート」から、さらに西へ徒歩5分ほど。
EXPOアリーナ「Matsuri」や「くら寿司大阪・関西万博店」を通り過た先に、ひときわ目を引く白い大きな建物が『未来の都市』パビリオンです。
入館方法は?
「未来の都市」パビリオンは、事前予約制。
EXPO2025のサイトの「予約・抽選の申し込み」ページから申し込みが可能です。
予約優先ですが、先着順で並んで入場することもできますよ。
パビリオン内の15のアトラクションを徹底解説!
出展:未来の都市|EXPO2025 大阪・関西万博公式Webサイト
パビリオンの中で体験できるのは、Society 5.0 が描く“これからの都市の姿”。
テーマ展示からはじまり、コモン展示、そして個別展示へと進むにつれて、Society 5.0 が目指す未来の都市と、そこで生まれる“新しい幸せ”が少しずつ見えてきます。
そんなパビリオン内の15のアトラクションを、これからたっぷりご紹介します!
テーマ展示「40億年・幸せの旅」
パビリオンに入って最初に迎えてくれるのは、高さ5m・長さ92mの巨大なスクリーン。
「Society 5.0って何だろう?」という問いをキーワードに、人類の誕生から社会の発展、そして未来のSociety 5.0へと向かう流れが、両側のスクリーンに映し出されます。その間を歩きながら、進化する都市の姿を全身で感じられる演出です。
映像では、社会の進化のステップがわかりやすく紹介されます。
Society 1.0は、生きているだけで幸せだった時代。
Society 2.0は、食べ物を育て、都市が生まれた時代。
Society 3.0は、様々な発明が生まれ、テクノロジーが発展した時代。
Society 4.0は、いつでも、どこでも、必要なものとつながれる時代。
そしてSociety 5.0では、地球規模の課題を乗り越え、人が“新しい幸せ”を創り出していく未来が描かれます。
コモン展示「未来との対話」
テーマ展示の巨大スクリーンを抜けると、目の前に現れるのは高さ約4mの4つのキューブ。
ここでは、2035年の“未来の都市に暮らす人々”との対話を通じて、Society 5.0の世界に触れることができます。
キューブは、映像が飛び出して見えるような3D仕様になっていて、それぞれ異なるテーマが設定されています。
テーマは、「家族と家のきずな」「新しい移動や物流」「健康と医療」「エデュテインメント」の4つ。未来の暮らしをリアルに想像できる映像が流れ、来場者を引き込むような空間が広がっています。
Society 5.0と未来の都市
協賛の日立製作所とKDDIが共同で展示しているエリアが「Society 5.0と未来の都市」。ここは、「Mirai Theater(ミライシアター)」と「Mirai Arcade(ミライアーケード)」の2つの展示で構成されています。
Mirai Theater
“未来は自分たちで変えられる”をコンセプトにしたこの展示は、約120名が一緒に体験できるシアタータイプのアトラクションです。
2035年の未来に暮らす子どもたちから届く、身近なテーマのSOSに応えるというストーリーで、ナビゲーターと一緒に未来の課題や選択肢について学んでいきます。参加者は、手元のスマートデバイスを使って解決策を選びながら、未来の都市をどう創っていくかを体験できる、自分の選択で進んでいく参加型の展示になっています。
ここでは、サイバー空間と現実の空間をつなぐ“サイバーフィジカルシステム”という先進的な技術も体感できますよ。
Mirai Arcade
Mirai Arcadeは、現代社会の課題を自分のアクションで解決し、明るい未来の社会をつくっていく体験型のゲームです。
大きなタッチパネルに登場するのは、3つのミッション。
「みんなが活躍する未来をつくろう」「便利で安全な未来をつくろう」「地球にやさしい未来をつくろう」。
画面に現れる“ミライボール”をスワイプして、目標の場所にうまく届けると、イラストが変化して課題が解決!シンプルな操作なので、小さなお子さんから大人まで、誰でも気軽に楽しめます。
コモン展示「未来の都市探訪」
ちょっと変わったロボットの“頭の中”に入って、未来の都市をのぞいてみるコーナーです。
「ゆめを見た」というキーワードをもとに、Society 5.0の世界でどんな課題があって、どうやってそれを解決していくのかを考える空間になっています。
体験はとてもユニーク。ロボットの頭部を模したスペースに座って、目の前のスクリーンに映し出される映像を楽しみます。映像のテーマは、交通・モビリティ、環境・エネルギー、ものづくり・まちづくり、食と農の4つ。
どれもこの後に登場する個別展示につながっています。
「こんな未来が本当に来たら楽しそう!」と思えるような、わくわくする映像ばかり。ちょっと先の未来を、ロボットの視点でのぞきに行くような体験ができますよ。
ものづくり・まちづくりエリア
神戸製鋼所:巨大ピタゴラ装置が圧巻!:次世代建材が鍵を握る未来
“未来の豊かさ”をつくっていくために欠かせないのが、ものづくり。
この展示では、「変化する」「つながる」「掛け合わせる」といった視点から、これからのものづくりの姿が3つのゾーンで紹介されています。
中でも目を引いたのは、壁一面に広がる巨大なピタゴラ装置。ボールが転がり、仕掛けが次々と動いていく様子に、大人も子どもも思わず足を止めて見入ってしまうような、楽しい展示でした。
CP コンクリートコンソーシアム:次世代建材が鍵を握る未来
エアシップに乗り込んで、スクリーンに映し出される映像を楽しむアトラクションです。
映像では、地球温暖化の危機を乗り越えた未来と、そうでない未来の2つのシナリオが描かれます。
その分かれ道のカギを握るのが、“CPコンクリート”。製造時だけでなく、建設後もCO₂を吸収し続けるという、まさに次世代のコンクリートです。
映像と音に包まれるような、臨場感たっぷりの体験ができますよ。
青木あすなろ建設×小松製作所:水中工事ロボに注目
テーマは「ミライの水中工事」。
オフィスなどから遠隔操作できる水中施工ロボットの映像が、巨大スクリーンに映し出されます。
さらに、実際に使われるロボットの巨大模型も展示されていて、そのスケールに圧倒されます。
未来の工事現場が、少し身近に感じられる展示です。
交通・モビリティエリア
関西電力送配電:未来のスマートポール
通信基地局や公衆Wi-Fi、街路灯、防犯カメラなど、さまざまな機能をひとつにまとめた多機能ポール「スマートポール」が展示されています。
さらに、そのスマートポールが実現する未来の暮らしや街づくりを、ARを使って体験できるコーナーも。
テクノロジーが日常とどうつながっていくのか、楽しみながら知ることができます。
川崎重工業:移動本能を刺激する2つの技術
「人は移動することで幸せを感じるDNAを持っている」そんな考えから、“移動本能”をテーマにした新しいモビリティの展示が行われています。
ひとつめは、4本の脚で走行するパーソナルモビリティ「CORLEO(コルレオ)」。足場の悪い場所でも走れるのが特長です。
もうひとつは、マスモビリティの「ALICE SYSTEM(アリスシステム)」。陸・海・空をシームレスにつなぎ、乗り換えのストレスなく自由に移動できる、新しい公共交通システムです。
商船三井:風から水素を生み出す「ウインドハンター」
洋上の風からグリーン水素をつくり、ためて、はこぶ。
そんな3つの機能をあわせ持つ次世代の船「ウインドハンター」を紹介するコーナーです。
会場には、長さ約4メートル・高さ約3メートルのウインドハンターの模型が展示されています。
うちわで風を送ると、シミュレーション航海がスタート。水素が製造され、運ばれ、供給されるまでの様子が、背面の大型スクリーンに映し出されます。
送った風の量によって、たまるエネルギーの量が変わる仕組みになっていて、ゲーム感覚で楽しめる体験型の展示になっています。
環境・エネルギーエリア
カナデビア:世界樹が導く未来社会
人と地球を支えるエネルギーの源「世界樹」をコンセプトにしたコーナーです。
ここでは、4つのミラーサイネージを使った体験装置を通して、IoTやAIと資源循環・脱炭素技術が組み合わさったSociety 5.0の社会像を体感できます。
自分の体を動かしながら楽しめる仕掛けになっていて、カナデビアが目指す未来のビジョンを、自然と感じられるような展示です。
日本特殊陶業:水と空気が主役のパフォーマンス
「水」と「空気」のチカラで“地球の未来を輝かせる”をテーマにした展示です。
大きなディスプレイの前はステージになっていて、毎時00分・20分・40分には、水と空気の循環をテーマにしたパフォーマンスが楽しめます。
ステージにはパフォーマーが登場し、映像と連動しながら、地球の未来が輝いていく様子をダイナミックに表現。音や光、動きが一体となった演出に、つい見入ってしまいます。
そのほかにも、超音波技術を使って“映像に触れる”体験ができるコーナーもあり、テクノロジーの面白さを身近に感じられる内容になっていました。
IHI:空飛ぶキューブで未来を旅する
「不思議な空飛ぶキューブ」に乗り込み、没入感たっぷりの映像体験ができる展示です。
クリーンエネルギーであるアンモニア発電をテーマに、海の中から宇宙、そしてミクロの世界まで、スピード感あふれる旅が展開されます。
3面に広がる大型ディスプレイに映し出される映像は、まさに迫力満点。視界いっぱいに広がる映像に包まれて、未来のエネルギーと世界の可能性を体感できます。
食と農エリア
クボタ:「食と農」の歩みと未来
人類と社会の歩み、そして「食と農業」の未来について、見て・学んで・体験できる展示がそろっています。
Society 1.0〜4.0の食文化を、お弁当のかたちで表現したエリアでは、それぞれの時代の食事スタイルやライフスタイル、農業生産、フードシステムの背景を視覚的に紹介。
「食」を通して、社会の変化や価値観の広がりを感じることができます。
エリア中央には、農業経営者の視点で未来を考えるシミュレーションゲームも。
参加希望者の列ができるほど人気の体験でした。
また、農業をはじめとするさまざまな現場で活躍する、完全無人で作業をこなす未来型の汎用プラットフォームロボットも展示されています。
最後に立ち寄りたいのが、「未来の種」コーナー。地球と人にやさしい食と農の未来を目指してチャレンジする人たちの想いが集まった場所で、気になるテーマのカードを手に取ることができます。
現地に行けなくても体験できる「バーチャル未来の都市」
万博会場に行けなくても、パビリオンの予約が取れなくても、「未来の都市」を体験できるのが「バーチャル未来の都市」。
ここでは、自分専用のアバターを介して、社会課題を解決した未来の姿やそれらを支える技術などを体験することができます。
まとめ
「未来の都市」パビリオンは、これからのワクワクするようなテクノロジーにたっぷり触れられる場所です。
迫力ある映像とリアルな体験が組み合わさった大規模なパビリオンで、すべてのアトラクションを体験しようとすると、時間が足りなくなるほど見どころが満載。
“幸せな未来の都市”のために、いま私たち一人ひとりが何に向き合うべきか。
楽しみながら、自然とそんなことも考えさせられる展示内容なので、子どもから大人まで、みんなで一緒に楽しめるパビリオンです。
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