「すみよっさん」として関西で親しまれている住吉大社は、約1,800年の歴史を持った由緒ある神社です。
全国に約2,300ある住吉神社の総本社であり、初詣には毎年約200万人もの方が参拝するとのこと。
今回は住吉大社の見どころとおすすめの参拝順路をご紹介します。
目次
大鳥居から角鳥居
大鳥居(おおとりい)
住吉大社の入り口には大きな鳥居があります。
鳥居は神様のいる神域と、私たち人間のいる俗界との境界線。何気なくやっていますが、鳥居をくぐることで神域に入る前にお清めするという意味があります。
参道の真ん中は神様の通るところですので、鳥居をくぐる際は参道の端に寄って一礼しましょう。
また参道もなるべく端の方を歩きましょう。
たくさんの石灯籠
大鳥居をくぐると奉納されたたくさんの石灯籠(いしどうろう)を見ることができます。
最近のものから、
「弘化四年」と書かれた幕末の頃のものまで様々です。
後述しますが住吉大社は海の神様が祀られているので、奉納された石灯籠の多くが海運業の方からのもの。江戸時代には航海の安全を祈願するだけでなく、広告塔としての役割を果たしたそうですよ。
さすが商人の街、大阪。商売っ気は今も昔も変わりません。
古くからの名所「反橋」
石灯籠に囲まれた参道を通ると見えてくるのが反橋(そりはし)です。NHK朝の連続テレビ小説「マッサン」でもたびたびお目見えしていましたよね。 太鼓橋とも呼ばれるこの美しい朱色の橋は、とにかく急勾配!
橋を渡るのにここまで体力を使ったことない!と思うほどです。
ちなみに反橋は豊臣秀吉の側室である淀殿が奉納したとされています。今でも登るのが大変なのに、昔は着物で何倍も大変だったんでしょうね。
橋の上から見える青々とした松葉と朱色の橋は対照的でとてもきれいです。かつてはすぐそばまで波打ち際だったそうなので、なおさらきれいだったことでしょう。
ただこの橋は川端康成の小説で「おりる方がこはい」と書かれるほど。僕も降りるのはほんのりと怖かったです。
小さいお子さんやご高齢の方がいらっしゃる場合は反橋の隣に緩やかな橋があるので、そこを渡ることをおすすめします。
こちらは橋のたもとにある船の形をしたオブジェ。実はこれ、タイムカプセルなのです。
2991年に開封するというこのタイムカプセル。
まだ900年以上もの歳月がありますが、開封する頃の世界はどういった風になっているのでしょうか…。
ちなみに「天空の城ラピュタ」では2800年ごろに大きな戦争が起こって高度に発達した文明が崩壊してしまいます。
かわいい手水舎
反橋を渡ると手水舎(ちょうずや/てみずや)があります。
住吉大社の手水舎、少し変わっているのに気づかれましたか?
そう!ウサギさんから水が注がれているんです。
他の神社では水神である龍の口から水が注がれていますよね。これは住吉大社を創建した神功皇后が、没後に「卯歳、卯月、卯日」の日に祀られたことが由来しています。住吉大社ではウサギさんを神様の使いとして大切にしているそうですよ。
そんなかわいい手水舎でお清めをしてから参拝しましょう。手水の手順をご紹介します。
①右手で柄杓を持ち、左手に水をかける。
②柄杓を左手に持ち替え、右手に水をかける。
③右手で柄杓を持ち、左手で水を受けて口を洗う。
④柄杓を立てて柄を洗う。
案外間違えやすいので、参拝するときには参考にしてみてくださいね。
※ちなみに写真では少し間違えています…。だから③は写真を反転させてるよ!ごめんね!
四角い鳥居
本殿の前にある鳥居「角鳥居(かくとりい)」はその名の通り角ばっている鳥居です。古い様式のとても珍しい鳥居で、他ではなかなか見られないものだそうです。
鳥居にある「住吉大社」と書かれた神額の書(しんがくのしょ)は幕末から明治の皇族である有栖川宮幟仁親王(ありすがわのみや たかひとしんのう)のもの。書道の達人だった幟仁親王は、かの有名な「五箇条の御誓文(ごかじょうのごせいもん)」も書かれています。
そんなありがたい神額の書が見られる角鳥居。近くに行くと柱が四角くなっているのがはっきりとわかります。でもなぜ四角いのか、理由ははっきりとはわかっていないんだとか。
なんともミステリアスで美しい鳥居です。
いよいよ本殿へ
角鳥居をくぐったら本殿(ほんでん)へお詣りしましょう。
本殿は四棟あるのですが、いずれも国宝に指定されています。
ここにもウサギさん
本殿に参拝する前に見かけるのが多くのウサギさんに関する品々。
こちらは「うさぎみくじ」 おみくじを引いたあと、かわいいウサギさんをお家に連れて帰られるのはいいですよね。おみくじの結果が良くても悪くてもハッピーな気持ちになれます。
こちらは体の悪いところを撫でて無病息災を祈願する「撫でうさぎ」 僕は頭を撫でました。親が心配しているから早く髪の毛の色が落ち着きますように!
祀られている神様
住吉大社は全国の住吉神社の総本社で、由緒が深く信仰が篤(あつ)いことから「一宮(いちのみや)」という社格がつけられています。 祀(まつ)られているのは底筒男命(そこつつのおのみこと) 、中筒男命(なかつつのおのみこと) 、表筒男命(うわつつのおのみこと) の住吉三神と神功皇后。
住吉大社が海や航海の安全、またお祓(はら)いの神様として崇められているのは神様が生まれた場所に由縁があります。
日本神話に、亡くなった妻の伊邪那美命(いざなみのみこと)を追って、夫の伊邪那岐命(いざなぎのみこと)が死者の世界である黄泉の国に行った有名なお話があります。結局のところ見るなと言われていた妻の変わり果てた姿を見てしまい、夫は逃げ帰るとともにけがれを祓うため海で禊(みそぎ)を行います。そのとき瀬の深いところで底筒男命 、中ほどで中筒男命 、瀬の浅いところで表筒男命が生まれたとされています。
ちなみにその後、左目から天照大御神(あまてらすおおみかみ)、右目から月読命(つきよみのみこと)、鼻から須佐之男命(すさのおのみこと)が生まれます。天照大御神は天皇家の始祖。須佐之男命はヤマタノオロチを退治したとして有名ですよね。
また住吉三神に、戦で助けられ住吉大社を創建するようお告げをいただいた神功皇后(じんぐうこうごう)も祀られています。戦に勝利したことから勝負事の神様としても信仰されています。
独特な社殿の配置
住吉大社には四棟の本殿があります。
第一本宮:底筒男命 (そこつつのおのみこと)
第二本宮:中筒男命 (なかつつのおのみこと)
第三本宮:表筒男命 (うわつつのおのみこと)
第四本宮:神功皇后 (じんぐうこうごう)
角鳥居をくぐって最初に見えるのは横に並んだ第三本宮と第四本宮。
そして第三本宮の後ろには第二本宮、第一本宮と縦に社殿が並びます。
上から見るとこのように並んでいます。社殿は南向きで横に並ぶのが一般的。大阪湾がある西側を向いて縦に並んでいる住吉大社の配置は大変めずらしく、大海原をゆく船団に例えられます。
最古の神社建築様式「住吉造」
住吉大社の本殿は最古の神社建築様式と言われる「住吉造」でつくられています。
朱塗りの柱と白塗りの壁、直線的な檜皮葺(ひわだぶき)の屋根などが特徴。白と朱色の本殿はとても高貴で華やかです。 また本殿の前には黒と白を基調とした拝殿があり、厳かな雰囲気です。
本殿の四棟とも同じ住吉造で建てられていますが、第四本宮だけ少し異なっているところがあります。
それは屋根の上にある千木(ちぎ)と呼ばれるものの先端。第一本宮から第三本宮までは地面に対して垂直に切られているのに対して、第四本宮は水平に切られています。
理由は定かではないですが、一説では第四本宮で祀られている神功皇后だけ女性であるためと言われています。
参拝の作法
本殿が四棟ある住吉大社。参拝は奥の方にある第一本宮から行いましょう。
拝殿の前に来たらまずはお賽銭を入れて…
鈴の緒を鳴らします。そして…
①2回お辞儀をします。
②2回柏手を打ちます。
③手を合わせてお祈りします。
④最後に1回お辞儀をします。
住吉大社はいわゆる「二礼二拍一礼」です。
神社によっては参拝の作法が異なっているところもありますので気をつけてくださいね。
きらびやかなお神輿
住吉大社を訪れたのが住吉祭(夏祭り)の少し前だったので、準備されているお神輿を見ることができました。朱色と金色で彩られたお神輿はとてもきれいです。
このご時世、上空にも気を配らないといけないのね。文化財が多いんだからドローンなんて飛ばさないでよね!
パワースポットも!住吉大社の周辺のスポット
※パワースポットについて別記事に詳しくまとめました!もっと詳しく知りたい方は、こちらもあわせてご覧ください!記事の一番下にも再度リンクを貼っておきますね!
末社と呼ばれる住吉大社の周辺にある小さな神社にも魅力的なスポットがたくさんあります。住吉大社へのお詣りをした後はぜひめぐってみましょう。
「はったつさん」で商売繁盛!
商売繁盛や家内安全を祈願する「初辰まいり」 「はったつさん」として親しまれ、毎月最初の辰の日に四社を参拝するのが慣わしです。
一番参り:種貸社(たねかししゃ) 元種を授ける神様が祀られています。元種とは商売で言えば元手のこと。資金調達や子宝に恵まれるなどのご利益があります。
二番参り:楠珺社(なんくんしゃ) 願いの発達を祈願します。初辰詣りの中心的な御社で、ご利益は商売の発達や家内安全です。
三番と四番は少し離れた場所にあります。
三番参り:浅沢社(あさざわしゃ) 芸事や美容の神様です。弁天様と親しまれ、女性は住吉大社を参拝する際に必ず参拝するのが慣わしです。
四番参り:大歳社(おおとししゃ) 心願成就や集金の満足にご利益があります。「おもかる石」は願いが叶うかを占う石として有名です。石を持ち上げて軽く感じれば願いが叶い、重く感じれば成就まで努力が必要なんだそう。
地味で目立たないけど実はすごい「石舞台」
毎年5月に舞楽が行われる「石舞台」 豊臣秀頼によって奉納され、現在は重要文化財に指定されています。四天王寺、広島の厳島神社と並び日本三舞台のひとつです。
「五大力」さんで心願成就!
五所御前(ごしょごぜん)は住吉の神様の使いである白鷺が舞い降りたと言われているところ。
そこにあるたくさんの玉砂利の中から「五」「大」「力」と書かれた3つの石を見つけてお守りにすると、心願成就のご神徳があるそうですよ!
住吉大社の御朱印
住吉大社の御朱印は本殿の北側にある授与所でいただけます。本殿やはったつさんのお詣りを済ませてから御朱印をもらいましょう。
ちなみに授与所には巫女さんがいますが、みなさん頭に飾りをつけています。住吉大社では巫女さんを神楽女(かぐらめ)と呼んでいて、伝統ある神楽舞を奉納するのが重要な役割。神楽で神様をお招きするため、飾られているのは鏡や神木の松、神様の使いの白鷺(しらさぎ)です。
御朱印は神職の方が書いて下さいますので、心を無にして待ちます。
住吉大社では本殿のみならず、はったつさんなどの末社や摂社の御朱印もいただけます。今回は本殿の「住吉大社」と御朱印帳に書いていただきました。
授与所の近くには「誕生石」なるものがあります。
薩摩藩の始祖である島津忠久公が産まれた場所とされています。
言い伝えでは源頼朝の寵愛を受けた丹後局(たんごのつぼね)が様々な苦難を乗り越え、この石のところで忠久公を出産したとのこと。そのことから誕生石は安産祈願の信仰があるんだとか。歴史を感じますね。
まとめ
今回はこの地図の順番で参拝しました。
南海電車「住吉大社」から大鳥居・角鳥居をくぐって本殿へお詣りし、はったつさんと五大力さんをめぐっています。 住吉大社の見どころは押さえてありますので参考にしていただければ幸いです。
「すみよっさん」として親しまれている住吉大社は長い歴史があり、多くの名所があります。
お正月に初詣に行くだけでなく、はったつさんや五大力など家族やカップルなどで楽しくお詣りすることもできます。パワースポットとして有名な場所もありますので、お詣りしてみてはいかがでしょうか。
名称 | 住吉大社 |
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アクセス | 南海本線「住吉大社駅」から徒歩3分 南海高野線「住吉東駅」から徒歩5分 阪堺線 「住吉公園駅」から徒歩2分 |
住所 | 大阪市住吉区住吉 2丁目 9-89 Googleマップ |
パワースポットだけをピックアップして、別記事に詳しくまとめました!